鰯の独白

鰯は、鮪よりも栄養価が高いのです、たぶん。

第3回配信 『21世紀のプロテストソング』 全曲解説

岩下啓亮 Sardine、配信第三弾は2002年に制作した作品集、『21世紀のプロテストソング』です。タイトルが示すように、この作品集には社会へのメッセージが表れています。それは今の時代にも通じる普遍的なものだと私は考えています。ぜひみなさんの耳で確かめてみてください。

今回の底本となったのは、数年前にここ「はてなブログ」に投稿した、この記事です。今回、ようやく架空ではない、現実のライナーノーツになりますね。

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それをもとにTuneCoreに楽曲を申請する際に記した楽曲紹介文を作った(引用青文字で示している)。その紹介文がディストリビューターによってどのように使われているかは知るよしもありませんが。

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リリースの前に、ボーナストラックを入れようかどうか迷いましたが、アルバム全体をつらぬくトーンを損いたくなかったので、制作当時のままの曲順としました。

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最後のライブより。歌っているのは「ワルツ・アメリカ Ⅰ」。

では、はじめましょう。

 

1. I believe

意表を突いたカントリー&ウェスタンスタイルのオープニングナンバー。

曲を書いたきっかけは、護憲集会に行ったら「明日があるさ」の替え歌で「憲法があるさ」と歌われていたので、それならオリジナルな新しい歌のほうがいいんじゃないか、との思いから(気後れして提供するにはいたらなかったけどね)。

日本国憲法の理念に、基本的人権の尊重がある。信じるに値する理由だね。だからぼくは、国力増強のための改憲論には乗れないんだ。

I believe

I believe

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ジョニー・キャッシュのサン時代のベストアルバムをみつけて、そればっかり聞いていた時期がある。(旋律やコードの運びかたについて)あゝそっちに行ってもいいのか、と道が拓けたように感じたものだ。

 

2. バンガロー

フォーキーなヒップホップ・フェイク。

漢気あふれる歌を書いてみたかった。現実の自分の非力さ、自信のなさにうんざりしていた。ラップの内容は当時よく読んでいた斎藤貴男のドキュメンタリーに影響を受けている。典型的「ワナビー」な歌詞だ。

アレンジもあまり企まず、シンセ等もあるがままに弾いた。

もちろん今日の視点からすれば、この歌の「男性讃歌」性が、無邪気かつ無自覚であることは否定できない。ひ弱なのはあくまでも男性が抱える問題なのであり、女コドモのせいにするものではない。この歌には、そうした根本的な間違いが内包されていることを、私は認めなければならない。

バンガロー

バンガロー

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あと、ラップのリリックを記しておこう。楽曲登録で歌詞を提出する際、ここはあえて記さずに送ったんだ(だからサブスクの歌詞に、この部分は表示されない)。

住民基本台帳 監視体制 盗聴法

個人情報保護だと? ウソつけ 市場に流れるキミの情報

お互い注意しような言動 キンタ〇握られてンだぜ相棒

いつしか治安維持法 国家総動員法

 

3. ワルツ・アメリカ Ⅰ

世紀を跨ぐ前後に、アコースティックギター一本で弾き語りできる歌をたくさん書いた。ボブ・ディラン気取りで。ミドルエイトが映像的で大好きなんだけど、今聴くとリズムパターンがちょっとうるさいね。ともあれアメリカの夢、理想と現実なんかをロードムービーふうに描いてみたんだ。

アコギ一本で録ったデモをレコード会社に勤めている友人に聞かせたことがある。彼は、エンディングがそっけないから「おやすみ・ぐっすり・今夜は」の部分は一気に歌わずに「ぐっすり(間をおいて)今夜は」とスペースを作った方がいい、とアドヴァイスしてくれた。彼の忠告にしたがって作り直したヴァージョンが、これさ。

ワルツ・アメリカ Ⅰ

ワルツ・アメリカ Ⅰ

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「真夜中のカウボーイ」が裏メロに流れていることは前々の記事に書いたが、もう一つ、ジェネシスの「シネマ・ショー」もこっそり弾いている。

 

4. 渚のハレーション

旋律にレナード・コーエンの影響がある。沖縄について書いたつもりだったが、むしろ今では本邦のことを歌っているように聞こえる。アレンジは遠近感や明暗のコントラストといった「対比」を意識している。コラージュを含めて映像を喚起する音響を狙ってつくった。

渚のハレーション

渚のハレーション

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間奏のナレーションが有名なグループのサンプリングだと気づく人は多いだろう。オッケー、だけどドン・ヴァン・ヴリートさんの声を挿入していることにはなかなか気づくまい。鱒のお面のだよ。

冒頭にタイプミス。「真っ昼間のサイレン 電話からのキャンペーン」と記されていますが、正しくは「電波からのキャンペーン」です。

 

5. あいにいかなくちゃ

ディラン、コーエンの次は、ポール・サイモンの影響下にある歌。でも、日本のポップスに顕著な歌う人=主人公の図式から解放された、客観的でコメディふうの歌詞が達成できたと思う。

ベースが効いているね。

あいにいかなくちゃ

あいにいかなくちゃ

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「僕とフリオと校庭で」クリソツな部分はさすがに「まんまじゃん」と自分でも思うが、「誰かに会うことがきっかけで運命がひらける場合もある」という設定こそが、ポール・サイモン的なのではないかとも思う。

前の曲でジョアン(・ジルベルト)、この曲でカエターノ(・ヴェローゾ)の名前を挙げたり、次の曲ではミルトン・ナシメントの影響が顕著だったりと、私はブラジル音楽から多くの恩恵を受けていることが分かる。

 

6. モノリス

記憶と記録についての歌だ。

ぼくの歌詞にはダブルミーニングが多いけど「野を駆ける子どもたち」を「脳」と空耳されたときは、さすがに深読みし過ぎだと思った。

もともとの曲調はボサノヴァ的な軽い雰囲気だったのが、ナシメントふうのスキャットとタイトなリズムを加えていったら、雄大なロックになってしまった。

「ああ壊してしまえ、役立たずの、モノリスなんて」という一節は、情報の一極集中化に対する警鐘である。

モノリス

モノリス

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白状すると、この作品集を作っているころは、ほぼ外界と隔絶した生活を送っていた。早い話が、引きこもっていた。パソコンも使用していたが、もっぱら文章を書くために特化しており、インターネット接続はしていなかった。そう、私はインターネットに恐れを抱いていた。とるに足らない私の情報も権力からすでに掌握されているのだ、と想像して。その認識は、ネットに棲息するようになってからも基本的には変わっていない。私たちの記録すべては監視され、管理されている。荒野に屹立する「モノリス」は、不安の・不可視の象徴であるといえよう。

 

7. あなたの影になりたい

演歌やムード歌謡に寄せてみた楽曲。テレサ・テン小林明子は意識したかもしれない。作った経緯は省くが、曲調や声域など、指定された条件に当てはめていったら、出来上がりが予想以上に面白くて、提供せず手元に置いておこうと決めたわけだ。後にこの曲をモチーフに『歌の塔』という題の小説を書いたこともあるほど、私的には重要作となった。

ミドルエイトの対位法は技巧を凝らしたと自負している。

あなたの影になりたい

あなたの影になりたい

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ファルセットで歌った曲を「気色わるい」といわれた経験が何度かある。裏声で歌った部分が女性のモノローグだと解釈されたことも。自分ではそれほど明確な役割分担はなく、ただ楽曲の求めるままに発声を使い分けているだけだ。まあ、この曲の場合は明らかに「待つ女」の気持ちを再現しようとしているけれど、最後で地声に戻るあたりが個人的には気に入っている。プリンスがそうでしょ? 歌声は性差を易々と飛び越え、その瞬間、男女どちらでもなくなる。

 

8. ひとりぼっち ともだち

別居や離婚の経験がないぼくだけど、独り身の心境、空疎な気楽さみたいなものを描いてみようと考えた。REMの「Pop song 89」とグラディス・ナイトの「Superwoman」に歌われたシチュエーションをインポーズしているが、基本的には素朴なフォークロック。あ、子ども用の木琴を使っていること、気づいたかい?

ひとりぼっち ともだち

ひとりぼっち ともだち

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これは歌詞が八割がたできた時点で、あえて退屈な曲調にしようと企てた。歌詞の倦んだ・自堕落な感じを出そうと思って、ありがちなリックをあえて挿みこんだ。上手くいったかどうかは分からない。分からないといえば、私は自分の歌が良いのかどうかがいまだに分からない。歌声に色気がない(から通用しない)とは何度もいわれたものだし、自分でも魅力に欠けるなあと感じることしばしばだ。けれどもこの歌は、声の冴えなさや艶のなさを逆手にとった歌い方ができていると思う。

 

9. ルサンチマン

ある方に、ロイ・ハーパーみたいだなと指摘されたが、ま、オープンチューニングで曲を作ると、どうしたってトラッドっぽくなる。通奏低音を敷くと音響に独特の広がりが発生するから、好きなんだ。

歌詞は、なるたけ呑みこみにくい語句を意識して選んだ。不平等で不条理な社会への強い憤りが表れている。

ルサンチマン

ルサンチマン

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この曲のヒントとなった対象は誰だろう? ジャック・ブルースではなかろうか。クリームのいくつかの曲や、最初のソロの『ソング・フォー・ア・テイラー』からの影響は大きいはずだ。

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ちなみにチューニングはレギュラーで第6弦のみEをDに落としている。

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使用ギターは1990年に3,000円で購入したスズキW-180。サドルを削って弦高をぎりぎりまで下げていた。

 

10. Rock me baby

この歌、没にしてもよかったんだけど、ここに置いたら意外と納まりがよかったんで。ぼくなりのR&Bを刻んでおこうと思った。

リズムマシンをBOSSのオーバードライブ(OD-1)につないで音を歪ませたら、奥行き感が増した。

ところで気がついた? この曲がアルバム冒頭の「I believe」の変奏曲だってことに。ぼくはずいぶん後になって気づいたよ。

Rock me Baby

Rock me Baby

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音楽について説明する歌の系譜だな、これは。私の中の評論家資質みたいなものが、解説しはじめるという。当時ジャミロクワイの類似を指摘されたけれども、それをいうならジャヴァンのサムライだろうと。まあ元をたどればスティーヴィー・ワンダーのパスタイム・パラダイスになるのかな。R&Bの体裁をとっているが、歌入れのときに念頭にあったのはボビー・ウーマックとザ・ステイフル・シンガーズだった。

 

11. スイート イマジネーション

これはぼくなりのグラムロックだね。ザ・フーキンクスからマーク・ボランまで、スティーリー・ダンからスージー・クワトロまでと、ラジオを聴きだしたころの感覚を思いだしながら作ったパスティーシュだけど、この後奏をリック・オケイセックが聞いたら苦笑するかもな。

スイート イマジネーション

スイート イマジネーション

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これは楽しんで作った。ぼくが十代のころ夢中になった曲ども(おもにB級の)へのオマージュが随所に散りばめられている。やんちゃでいなたいSGのギターソロは、ぼくのベストプレイかもしれない。

 

12. どれくらい

で、この楽想はピート・タウンゼンドへのオマージュ。ぼくは(本邦ポピュラー音楽の大半を占める)恋愛の初期衝動についての内容ばかりではなく、彼のように生と死、社会と個人、労働と生活についてのシリアスな歌をつくりたかったんだ。

ぼくはいろんなアーティストから、スタイルではなく、スピリットに影響を受けた。言い方はよくないけど、そろそろ落とし前をつけなきゃな、と思っていた。

どれくらい

どれくらい

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あと、つけ加えると、この曲名は「奴隷 cry」とも読める。数年前はまだ他人を「忙しいひと」だと笑っていられたけど、この頃はもう余裕がなく「明日をどう乗りきるか」まで追い詰められていた、その反映だ(だからこそ敢えての「ステイン・アライブ」的リフなんだ)。

 

13. いついつまでもいっしょ

では「日本ならではのポピュラー音楽とは?」と考えたときに、このヨナ抜き音階の旋律が降りてきた。高峰三枝子の「南の花嫁さん」みたいなメロディーだけど、ジャズ系のギタリストからは「(ウェザー・リポートの)ブラック・マーケットかい?」と訊かれたよ。違うって。どうせならフレンチポップスふうの発声を指摘してほしかったな。

この歌詞の世界観を一言であらわすなら、「戦争前夜」だね。明るいなかにも不穏な空気が漂っているという。

いついつまでもいっしょ

いついつまでもいっしょ

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戦争前夜とはつまり、世情が不穏な空気に支配されればされるほど、庶民は平穏な日常を維持しようとささやかな幸せに逃げこもうとする。カタストロフがそこまで来ているのに、そんなことは起こらないと思いこむ心理状態(今の日本がまさにそれだ)を描こうと考えたのだ。

 

14. ワルツ・アメリカ Ⅱ

3曲目の「ワルツ・アメリカ Ⅰ」では友情と愛に満ちあふれたアメリカの理想を歌った。しかし、これを作った当時のアメリカには、例えるならルーファス・ウェインライトの「ゴーイング・トゥ・ア・タウン」に似た幻滅を抱いていた(ぼくの方が先に作ったんだけど)。それで「I」と対をなす「Ⅱ」を書いた。幻聴かもしれないが、ぼくの耳にはエンディング近くで吹きこんだはずのない「アメリカー」というコーラスが聞こえる。

この曲には自分の持てる技術とアイディアのすべてを注ぎこんだ。だから岩下啓亮の最高傑作だと思っている。

ワルツ・アメリカ Ⅱ

ワルツ・アメリカ Ⅱ

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この曲にも「参加ミュージシャン」がいる。「I don't believe you」とつぶやくバンドリーダーと、背後でテレキャスターのコードをジャキーンとかき鳴らすギタリストだ。

 

15. 4000マイル

ぼくは終わりの予感を抱きながら、この歌を録音した。長年使っていたTEACの4trkレコーダー「234」は既に相当ガタがきていた。playボタンが壊れたとき、「あー終わったな」と呟いた。これは80年代のニューウェーブにアレンジの着想を得ている。つまり、惜別の歌だ。

4000マイル

4000マイル

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着想を得た「80年代のニューウェブ」とは、ずばりブルーナイルを指す。無機質ではない、心象を描くようなシンセサイザーの扱い方を彼らから学んだ。

ちなみに使用シンセサイザーはクラビア社のノードリード1である(パーカッションもほとんどコレ)。

 

16. Good morning, Good morning, Good morning

影響されたジャンルを一通りおさらいした前の曲で終わらせるつもりだった。が、それではあまりにも救いがないと思った。根が楽観的なぼくは、明朗な曲調でアルバムを締めくくりたかった。そこでぼくは、「愛の交歓」についての歌を用意した。ワグナーとハンターみたいなツインリードは新たな道へのファンファーレのようだ。「どんな苦境に直面しても、愛し合う二人には、やがて新しい朝がくる。」

Good morning, Good morning, Good morning

Good morning, Good morning, Good morning

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しかしどうだろう。「ありがとう、忘れられない朝になる」という男性のモノローグは、永遠の別れを予感しているようにも読めないか?

 

【英文記事】

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さて、ここまで読んできた(もちろん音楽は聞いてくれているよね?)みなさんは、とうぜん疑問を抱いただろう。「これのどこがプロテストソングなんだ?」と。

その疑問は私自身にもあった。実際の行動がともなっていないじゃないか、ポーズに過ぎないんじゃないか、との思いがずっとつきまとっていた。たとえば「I believe」をつくっておきながら、この歌を歌ってみてほしいと関係団体に働きかけなかったことは怯懦に他ならないではないか、と。

行動がともなわない点をさっ引いても、歌詞の面で社会性が明確になった曲は、半分にも満たない。何か問題であるかを正確に描いている曲となれは、冒頭曲と2番めのワルツだけだろう。他に具体的な問題提起はなく、ただ印象を羅列したに過ぎない。私の裡の批評家が、このアルバムを糾弾している。この曲どもはプロテストソングの名に値しない、と。

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だが、それでも私は、ここに収めた16曲を「抗いの歌」だと思っている。私はついに商業音楽の世界に自分の作品を発表できなかった。いわば敗北者だけれども、敗れた者なればこその歌える歌がある。商業的に通用しなくとも、それで歌の価値が無であるとは思わない。私は世の中に流通する音楽とはべつの、社会への視点を提示したつもりだ。それはポピュラリティーとは無縁だが、民衆の暮らしに直結した普遍性を有していると思う。私は上手くいかないで悪戦苦闘している人たちを念頭に、これらの歌を書いた。成功や勝利とは無縁だが、毎日を懸命に生きている人たちに連帯を呼びかけたい、そういった思いを歌の詞や旋律や音響の端々にこめたのだ。

この『21世紀のプロテストソング』は、純然たる抵抗歌ではないのかもしれない。しかし、世にあふれる馴れあいの歌謡とは一線を画していると私は自負している。どこに「どれくらい貯えれば、幸せ獲得するだろう」みたいな身もふたもない歌詞をつくる莫迦なヤツがいるだろう?

私は「ポップスかくあるべし」という既成の概念に抵抗した。その意味でこれはたたかいの記録だ。そして今回、インターネットを使って私はアクションを起こした。配信して、世に問うた。ささやかだけど、行動がともなってきたんじゃないかな。とにかくこのまま作品を埋もれさせたんじゃ、死んでも死にきれんから。鰯 (Sardine)2024年4月27日