鰯の独白

鰯は、鮪よりも栄養価が高いのです、たぶん。

鰯の 『Catchy 22 Anthology』徹底解説

鰯こと岩下啓亮 Sardineです。2024年2月24日に初のアルバム『Catchy 22 Anthology』を発表しました。

magazine.tunecore.co.jp

インターネット配信のみでCDやアナログ等の販売はありません。したがって歌詞カードやライナーノーツもない。というわけで私は、はてなブログに書いておこうと思います。音楽を聴きながら読んでみてください。なんらかの発見があると思います。

 

  • タイトルについて

名刺がわりの一枚として、「最初はわかりやすい曲ばかりを選りすぐったアルバムにしよう」と考えていた。自分のレパートリー中キャッチーなナンバーを、というわけで、アート・ガーファンクルが出演している厭戦映画『Catch 22』をもじって、このタイトルにした。

  • 曲数について

ウェブ記事で、「サブスクリプションでアルバムをリリースする際、あまり長くしてはいけない、最大22曲程度にとどめておくべし」とのアドヴァイスが記してあった。なるべくたくさんの曲を聴いてほしかった私は、詰めこめるだけ詰めこんだ。(ディストリビューターの)TuneCore Japanは、アルバム配信一回につき手数料5,220円がかかるから、資金難の私は、余裕をもって何枚にも分けてリリースする選択がなかった。おかげで22曲に厳選することができたが、ヘヴィーなボリュームは聞く側への配慮に欠ける措置だったかもしれないと反省している。

  • アルバムカヴァー(写真)について

これは22, 3歳のころ羽田空港で撮った写真だ。古いアルバムをひっぱり出して、奇跡的によく映っている写真をスマフォに撮りこんだ。その姿を他人がみれば、こっけいな光景に違いない。

リリース登録の際「正方形3000pixel以上」という指定があった。画像編集アプリを使わない私は、よくわからないまま、ありあわせのツールで、元データを拡大して送った。だからぼんやりした感じになってしまった。

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推奨サブスクリプションSpotify

open.spotify.com

とても使い勝手がよい。曲間もシームレス。ただし表示の遅延は困る。Spotify for artistは不親切。

 

【曲解説】

✳ 1時間半と長いので、何曲かずつ、分けて聞いてください。

 

1.「Z橋で待つ」1996年

1996年に自主制作CD『離してはいけない』を発表した当初から、「Z橋で待つ」の評判はあまり芳しくなかった。地味だピンとこない、とさんざん言われたものだ。今回アンソロジーを組むにあたっても、冒頭にこれを置くのはどうかと考えた。

でも、この曲以外はありえなかった。自分の最高傑作ではないけれど、代表曲だと思っている。なぜなら「等身大」だからだ。実際の岩下啓亮にもっとも近い、虚飾のなさが身上だからだ。それは30歳過ぎから30年経っても、いまだに変わらない。
なお、東海道線を跨ぐ「Z橋」は浜松市に実在した。今もあるんだろうか?

つまり「Z」に深い意味はない。これは「人間関係を希薄に感じ」たときの心象風景を描いた歌だ。「航空自衛隊の練習機」がとりざたされるけど、書いた当時はノンポリだった。政治的な意図もない。

冒頭のコード進行が、キング・クリムゾンの「風に語りて」に似ている。あと、間奏のブレイクはダニー・コーチマーの「エンドレス・スリーブ」を参考にした。指摘される前に自己申告しておくよ。

 

2.「変身」2000年

ほんらいならこれを一曲めに据えるべきなんだろうな。キャッチーなイントロだ。三声コーラスも含めて、全体にビートリッシュ。恋愛初期の高揚した感情を素直に表出していると思う。「定期券をなくした」のは実話だけどさ、定期券って今や死語に近いね。歳月の経過は、歌詞に現れるものだ。

ひらうたAのメロディーが、ジョニ・ミッチェルの「サークルゲーム」っぽいね。それと、大好きな歌なんだけど退屈に感じることもある。ビートルズでいえば、「ユー・ウォント・シー・ミー」みたいなポジション。

でも結局、自分の作品を発表しようと決意したわけは、かつて作った歌はまんざら悪くないぞ、と思ったからで。身も蓋もない言いかたすれば、自分の作風が好きなんだ。だから「オレは岩下啓亮サーディンのいちばんのファンだもんね」という気持ちでいる。「変身」ってつまり、そういう歌です。

 

3.「ワルツ・アメリカ Ⅰ」2001年

ワルツといっても、ハチ/ロクのリズムだけどね。

ぼくは当時ソ⚪︎ーに勤めていた旧友に、ギター弾き語りのデモを聞いてもらった。すると彼はユ⚪︎コーン時代の「民生のデモ」を聞かせてくれ、「このくらい作り込んでもいいんだよ」といった。「それからエンディングがそっけないな、ひとつ間を置くと余韻がいいかもよ」とアドヴァイスしてくれた。その忠告に従って作り直したのが、これさ。

アメリカン・ロードムービーふうの情景を喚起したかったから、ジョン・バリートゥーツ・シールマンスの「真夜中のカウボーイ」のテーマを裏メロに流している。

銀ちゃん、元気にしてるかな?

 

4.「Any other man」2000年

ふてくされソングの典型。オレのこと好きじゃないなら他の男に行けば? って拗ねた態度は、他の曲でも頻出する鰯の得意なポーズ。ホントはもっとオレの方を向いてくれって願っているくせして、素直じゃないやつ。
長くうねるメロディーとヒーカップ唱法はジュールス・シアーの影響だ。ビリー・コーガンの声色も意識しているね。切れ味勝負のロックンロールだよ。

 

5. 「空の下のリベルテ」1986年

アンソロジー中もっとも旧い録音。声が若いね。この「空の下のリベルテ」には、3つの影響が顕著に認められる。
トッド・ラングレン。「友達でいさせて」や「メイテッド」などのバラード群。
スタイル・カウンシル。「ユー・アー・ザ・ベスト・シング」などのアレンジ。
フランク・ザッパピーター・フランプトンをおちょくったアレの、主にコーラスワーク。
もう一つ。村山槐多の「げに君は酒とならざる麦の穂の青き豪奢」も、だ。

ぼくは1985年に挫折し、東京を去った。そのときの感傷が歌詞に表れている。むかしの仲間たちに、お別れを告げているんだ。

 

6. 「赤いホンダ」1999年

あまり重要視されないけど、大好きなんだよね。

エルヴィス・コステロmeetsトッド・ラングレンというか、大友康平meets小西康陽というか、一部変拍子とか木管系のオブリとか、アイディアと遊び心にあふれているし、これを聞くと朝から元気になる。

どんな富も権力も、てんで敵わない。オレの夢と情熱、誰も敵わない

こういう無根拠なオプティミズムは、もはや現在では通用しないものなのだろうけど、前世紀の価値観を新たに録り直すことはできない。なのでそこはご容赦いただきたい。
ちなみにぼく、ホンダ車を所有したことは一回もないです。歌詞は全て空想。

 

7.「あなたの影になりたい」2001年

演歌あるいはムード歌謡に寄せてみた楽曲で、テレサ・テン小林明子は意識したかもしれない。作った経緯はブログ記事にしている。

kp4323w3255b5t267.hatenablog.com

要するに指定された条件に当てはめていったんだけど、出来あがったら予想以上に面白くて、手元に置いておこうと決めたわけです。後にこの曲をモチーフにした『歌の塔』という題の小説を書いたこともあるほど、私的には重要作となりました。

ちなみに『歌の塔』は、ある文学賞の最終選考に残ったのだが、控えめにいって、選考委員の評価はどれも低かった。 「マンガみたい。でもマンガのほうが、もっとうまく描ける高橋源一郎

 

8.「モノリス」2001年

記憶と記録についての歌。「ああ壊してしまえ、役立たずのモノリスなんて」という一節は、情報の一極集中化に対する警鐘だ。それと、ぼくの歌詞にはダブルミーニングが多いけど、「野を駆ける子どもたち」を「脳欠ける子どもたち」と空耳されたときは、さすがに深読みし過ぎだと思った。

誰も指摘しないけど、ブラジル音楽の影響下にあるね。もともとの曲調はボサノヴァ的な軽い雰囲気だったのが、ナシメントふうのスキャットとタイトなリズムを加えていったら、雄大なロックになってしまった。

 

9.「サンデードライバー」1989年

お察し通り、曲名は「デイ・ドリッパー」より。

この曲を冒頭曲としたアルバム『50/50』をただいま準備中である(3/30現在)。ぼくは1989年に就職のため郷里を離れたが、そのときに青年期にお別れを告げる作品集を作った。ピアノと歌を五分五分としたアレンジというコンセプトだったけれども、一曲めからリズムマシン(TR707)を使ってしまった。
歌詞にミッキー・ロークが登場するあたり時代を感じさせるけど、アル・クーパーみたいなピアノのタッチは悪くないと思う。録音中スタジオ(今はなき水前寺のスタジオSHEEP)に居合わせたター坊とマツバラさんに、コーラスで参加してもらっている。

 

10.「冬の月」1991年

「冬の月」の楽曲構造は堅固だが、5分は長すぎ。今の基準だと、やや冗長に感じる。

歌詞は寓話的と言い換えてもいい。孤独に苛まれる男が月に窮状を訴えるが、月は無情にも「自力で立ちあがろうとしない者は救えない」と諭す。この歌詞の内容も今にしてみればリバタリアン的だと見なされようが、若いころ自分本位のぼくは、まだ自助がかなう程度には健康だった。
厳しめに評価したが、メロディーは覚えやすく、優しい。まるで「花とメルヘン」みたいだね。37鍵メロディオンの独奏が曲に陰影を加えている。ぼくは当時、鍵盤ハーモニカを指導するプロとして、全国の小学校を行脚していたから、この程度の演奏は朝飯前だった。

 

推奨サブスクリプションApple Music

Catchy 22 Anthology

Catchy 22 Anthology

  • 岩下啓亮 Sardine
  • ロック
  • ¥1833

music.apple.com

Spotifyよりも音質が断然よい。運営も親切で画像表示も即対応する。ただし検索がわかりにくいかな。

 

11.「忙しいひと」1996年

「忙しいひと」はけっこう再生されているね。専門学校の学生が作曲法の授業で提出する習作のような(かつてスザンヌ・ヴェガ「トムズ・ダイナー」をそう評したライターがいた)単純な曲調だ。持てる技をぜんぶ駆使したハッタリだらけのピアノソロは誰の影響だろう? マイケル・オマーティアンあたりかな。歌に戻る前の五つの和音なんかはずいぶん工夫した。
そういえば最初に発表したころ「音楽の善し悪しはさっぱり分からんが、これはまるでオレのことを歌ってるみたいじゃないか」と気に入ってくれた方がいらっしゃった。
ペーソスあふれる歌詞が、今なお共感を呼ぶのではないか。全国の「忙しいひと」たちに捧ぐ。

 

12.「抱擁」1996年

上記11と同じく『離してはいけない』より。大好きなブルーナイルの影響が大だが、それだけにとどまらないスケール感がある。黒鍵だらけの音階なので弾くのに苦労するが、そのぶん手癖に陥らないので響きに新鮮さがある。

高校で教諭を勤める同級生から、「これは岩下が、自分と自分の子どものことを歌ったものだね?」と訊ねられたことがある。この散文的な歌詞から、よくそこまで読みとれるものだ、と驚いた。

生きていくために家を空けるのは男の務めだと父親はいった/そして同じことを息子はくり返す。孤独を抱いた子どもがまたひとり

そういえば先日、高校時代バンドを組んでいた仲間の通夜に出席したけれど、故人はむかし私が作ったCDをよく聞いていて、とりわけ「抱擁」が好きだった、そうだ。

後日、参列者の友人からも「『抱擁』がいいね」というメールをもらった。

配信してよかったのかもしれない。

 

13.「I believe」2001年

意表をついたカントリー&ウェスタン。

これを書いたきっかけは、護憲集会に行ったら「明日があるさ」の替え歌で「憲法があるさ」と歌われていたので、それなら新しい歌を作ったほうがいいんじゃ? との思いから。気後れして提供するにはいたらなかったけど。
日本国憲法の理念には基本的人権の尊重がある。信じるに値する理由だね。
Respect for fundamental human rights is part of the philosophy of the Japanese Constitution. That's a reason to believe.

 

14.「Cut 'N' Paste」1997年
当時の仕事先で、ぼくが一々マニュアルで入力していたら、「能率悪い、そんなのカット&ペーストすりゃいいんだ!」と苛立たしそうに言われた経験を元に歌詞を作っている。「編集能力は必要よ」も「資本主義を否定するのならお金のない国に行けばいいさ」も同様で、まわりの誰かから何気なく投げかけられた言葉を、文字通り「サンプリング」したってワケ。
だから自分の考えではなく、その当時の風潮が反映されたものだ。で、これがコメディで風刺だということを理解できない人は、一定数いたな。ぼくは世紀末の時代の雰囲気を真空パックしたんだよ。分かりやすくいうなら、IT化についていけない=情報や価値観を「アップデートできない」自分を、戯画化したものさ。

いろんな音楽の影響を見出せるだろうけど、これはもともとJTジェイムス・テイラーのこと)みたいに穏やかな歌をイメージしていたんだ。ラップまでして、逸脱してしまったけども。

 

15.「ライナスの毛布」1986年

今回編んだアンソロジーの中で最も若いころの歌なんだけど、そのころ流行っていた「青いスタスィオン」という曲を真似して作った(河合その子のファンだったわけではない)。デジタルビートにリード楽器を組み合わせた後藤次利のアレンジを参考にしたんだけど、似てもにつかぬモノになった。このことから、意識的に真似ようとすれば模倣に陥らずにすむことをぼくは学んだ。
青春期特有の自意識過剰を描いた歌詞は、ひら歌AとBが少年、サビが歳上の女性という二重構造になっている。が、巧く歌いわけできなかった。今にして思えば、サビに女性ヴォーカルを招けばよかった。

 

16.「旅に出よう」2000年

Spotifyの「関連するアーチスト」に、はっぴいえんどなどの邦楽とともにフェアポート・コンベンションが載っていた。前者は私に同名異曲「風をあつめて」があるからだと思うが、後者の理由がわからない。もちろん大好きなバンドだから嬉しい。

『Catchy 22』の中でフェアポートの影響が顕著な曲といえば、「旅に出よう」かしら。リズムが「マッティ・グローブス」っぽいし。じつはこの曲、他と比べるとインパクトに欠けるから選ぶかどうか迷った。でも、個人的にひいきしてるんで、入れた。マイナーキーなのに歌詞が明るい。ジャパニーズ・トラッドの趣きがあるよね。

 

17.「おんぼろクルマ」1992年

歌詞に致命的なミスがある。なんと「トエフスキー」と歌うべきところを「トエフスキー」と歌ってしまっている。読んでないこと丸わかり。恥ずかしいから出すのを躊躇ったけど、今さら修正はできないし、これも私の歴史だ、曲の出来は悪くないのだから、ええい出してしまえと決心した(ちなみに『罪と罰』、『カラマーゾフの兄弟』、『未成年』は後に読んだ)。

ぼくの書いた曲の中で、いちばんテクニカルな楽曲だろう。カーツウェルK1200というシンセサイザーに「ライル・メイズ」って音色がプリセットされていて、それをまんま使っている。それでPMGっぽいアレンジになった。

あ、デュエットしているのは私のパートナーです。

 

18.「風をあつめて」1993年

おそれ多い曲名だけど、もちろん別の曲。ピアノの弾き語りにベースとコーラスを加えたシンプルな編曲のバラード。
こないだ『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』というテレビドラマを眺めていたら、この曲とほぼ同じ旋律の劇伴が流れていた。パートナーまで「これ、あなたの『風をあつめて』とそっくりじゃない?」という始末。まあそれほど月並みなメロディーではあるんだけど、そこは鰯、ちょっと捻った和音をあしらったり転調して大サビを設けたりと、いろんな工夫しているから一味ちがう。
この歌は結婚前に書いた決意表明のようなものだ。結婚を祝して、友人がインスト版を作ってくれたけど、良い出来だった。機会あればそれも紹介できればいいな。

 

19.「病院」1986年

御多分に洩れず、ぼくはプログレ少年で、大人になっても密かに聞いていた。とりわけジェネシスにはずいぶん影響を受けて、フィル・コリンズがフロントマンになってからのポップなアルバム群からはずいぶんヒントをいただいた。中でも「病院」はあちこちにトニー・バンクス的な痕跡が認められる。それは電気ピアノアルペジオや分数和音の積み重ねなんかに顕著だ。
歌声が若々しい。薄情ソングの典型だ。この歌の主人公は自分のことしか考えてない。歌の最初に断っているだろう? 「季節は春だと仮定する」と。そう、これはフィクションなんだ。実際のぼくはもう少し思いやりがあるよ。

 

20.「ワルツ・アメリカ Ⅱ」2002年

私はここ数日、ずーーっと「ワルツ・アメリカⅡ」を繰り返し聴いている。孤独の真っ只中を飴を舐めるように舌で転がしながら。(李ひとみさんからの返信)

ワルツⅠとⅡはボブ・ディランを念頭に歌いました。

ルーファス・ウェインライトの代表曲「Going to a town」と「ワルツⅡ」は歌詞に共通点がありますね。

「ワルツⅡ」のコーダは、お気づきかもしれませんが、パンタ&HALの「極楽鳥」を意識しました。

ぼくは持てる技術のすべてと情熱を、この歌に注ぎこみました。

 

21.「4000マイル」2002年

1985年に、ぼくはTEAC234という4trackカセットレコーダーを使い始めた。2002年にplayボタンが破損するまでADATなどの他の機材に浮気はしなかった。上級機種を検討しなかったわけではない。お金のあるなしよりも、新しい機材の使い方を覚えるのが面倒くさかったからだ。DAWについても(初期のカモンミュージックやパフォーマーを仕事で使うことはあっても)自作の録音では絶対に使わなかった。基本的にシーケンサー等の自動演奏が好きではなかったのだ。ぼくはテクノロジーを否定しているわけではない。便利なものは使えばいい派だから。けどさ、自分で培った技や術を使わない手はない。そのほうが確実だし、それに楽しいだろう? せっかくの楽しみをみすみすテクノロジーに渡したくはないじゃないか。そういう態度で何事にも臨んでいたし、今もそうだ。

ぼくは終わりの予感を抱きながら、この歌を録音した。長年使っていたTEAC234は既に相当ガタがきていた。playボタンが壊れたとき、「あー終わった」と呟いた。これは80年代の「ニューウェーブ」にアレンジの着想を得ている。

つまり惜別の歌だ、多重録音による音楽制作への。

 

22.「フェアリーテイル」2000年

ぼくの歌い方は、自分ではジョー・ジャクソンにいちばん近いと思っているけど、声質が似ているとよくいわれたのは浜田省吾。でも、音楽活動やめるまでは、まともに聞いたことほとんどなかった。この「フェアリーテイル」を聞くと、あー似てるかもと自分でも思うよ。
これはわが子のために書いた子守歌みたいなもので身内しか知らない。しばらく忘れていたけど最近よく思いだすようになって、このたび引っ張りだした次第。どこからともなく「入れといたほうが良くない?」って声が聞こえてきた気がする。悪くないじゃないか、と。

確か、歌詞カードを見ながら即興で録音していったはずだ。4パートぜんぶ一発録り。正味30分くらいで完成した。
では、「おやすみ、おやすみ、明日はいい日でありますように」。

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写真はアルバムカヴァー候補。八ヶ岳で撮ったこれとどちらにするかを最後まで迷った。しかし、羽田と同じ雨合羽を着ているのが可笑しいね。

 

推奨サブスクリプションYouTube(Music)

music.youtube.com

音質は少し劣るし、コマーシャルが入るから鬱陶しい。けれども無料でぜんぶ聞ける。しかも収益額の通知が早い!(2月14日〜29日までの半月で¥90も稼いだんだぜ・笑)。

二年ほど前のことだ。同僚から「それだけ楽器とか弾けるんだったら、DTMでも始められたらどうですか?」といわれたことがある。たぶんその人は親切で勧めたんだろうけど、白状すると、ぼくはそのときカチンときた。なんだか悔しくってね。
録りだめた過去音源を発表しようと思ったのは、それがきっかけだった。ま、決心してから実行するまでに二年ほどかかったけどさ。きっかけを与えてくれたその同僚には感謝しているよ。

最後にこれだけは言っておきたい。ぼくは儲けようと思って配信を始めたわけじゃない。ネット上に過去音源を並べたところで、聞く人がいるとも限らない。そんな期待は端からかけてない。ただ、自分の作った音楽をこのまま埋もれさせたくなかった。誰かの耳に届くようにと祈りつつ、配信することを決めたんだ。

3月23日にはアンソロジー第二集『鰯の告白』を配信開始しました。また、4月27日には『21世紀のプロテストソング』をリリースします

乞うご期待、それではまた。鰯 (Sardine) 2024/03/31