鰯の独白

鰯は、鮪よりも栄養価が高いのです、たぶん。

Music

70年代の巫女たち(金延幸子、カルメン・マキ、佐井好子)

洋楽ばかり聴いてるけど、では、日本の歌に興味がないんですか? たびたび訊かれた質問だ。そんなことはないよとぼくは面倒くさげに答えていた。 日本語の歌も聴くよ。男性よりも女性歌手が好きだな。若いころは矢野顕子とか大貫妙子(いずれ書きます)をよ…

ソロ

かつてギターソロが苦痛だった。のけぞって弾かれるとうんざりしていた。いつまで演ってんだ、適当に切り上げろと内心ぶつくさ言っていた。ジャズのアドリブも嫌いだった。そもそもインプロヴィゼーションという構造自体が予定調和的に感じたからだ。だった…

「神に誓って」フランキー・ヴァリ、記憶を頼りに歌った「瞳の面影」

フランキー・ヴァリ、1975年発売のアルバム“Closeup"は、前年にヒットした“My eyes adore you”(邦題:瞳の面影/全米1位)を含む、起死回生の一打であった。 フォー・シーズンズのリード・シンガーとして、ソロ活動も含めて長く全米ヒットチャートを賑わせ…

1968年のグレイス・スリック

ぼくはジェファーソン・エアプレインのよき理解者であるとはいいがたい。 サンフランシスコ産でほぼ同期のグレイトフル・デッドにも似て、捉えどころがないというか、魅力が伝わってこないのだ。もちろん代表的な作品は一通り修めてはいるけれど、ファンと名…

切なくも愛おしい旋律の花束、パート・バカラック

ぼくが心底くたびれたとき、まいっているときはアメリカ産のポップスを大量に聴く。ことにバート・バカラック。聴いていると荒んでいた気持ちが落ち着く。バカラックの音楽は心の痛みを和らげる特効薬なのである。 また、キャロル・キングやジム・ウェッブの…

暴動 There's a Riot Goin' On

いい歳の取り方をしたスモールタウン・ボーイ(ジミー・ソマーヴィル)

1980年代半ば、ぼくは欧州産のエレポップが大の苦手だった。ドン・ドン・ドン・ドンと刻まれるバスドラの四つ打ちが聞こえてくるたび、勘弁してよと口にしていた。ブロンスキ・ビートもその一群だと思っていたから、歯牙にもかけなかった。当時はMTV全盛期で…

エルヴィス、プリンス、エスペランサ

最近ユーチューブで観た音楽ヴィデオで秀逸なものを3つご紹介したい(順不同)。 ① プリンス sheilae.rp プリンスの訃報は、まだ余震が続く日々の最中に、追い打ちをかけるような、つらい出来事だった。亡くなってしまってはじめて存在の偉大さに気づき、喪…

夏天空の伝説 The Enid “In The Region of the Summer Stars”

The Enidが4月に来日した。観にはいけなかったが、鳴った音を想像しているだけで愉しくなる。観に行かれたるなさんの感想によれば、<イワシさんの別腹1位をライブで聴いて来ました。ゴドフリーさんも初期アルツハイマーなど微塵も感じさせない流麗なタッチ…

ゴーイング・トゥ・ランディ・カリフォルニア Kapt. Kopter and the (Fabulous) Twirly Birds

ヘイ、ランディ・カリフォルニアを知っているかい? レッド・ツェッペリン、「天国への階段」盗作の疑いで訴えられる | Led Zeppelin | BARKS音楽ニュース このニュースに、「ランディ・カリフォルニアって何者?」と反応した向きも多いと思うが、スピリッ…

ジノ・ヴァネリの兄弟仁義 「ブラザー・トゥ・ブラザー」

先日、ジノ・ヴァネリの全盛期を60分に収めたライブ映像を見つけた。 以前からYoutubeの投稿画像をブツ切りで楽しんではいたが、こうして纏まったかたちで観ると、また格別である。 実兄ジョー・ヴァネリによるよく練られたアレンジメント、故マーク・カーニ…

Björk Greatest Hits ビョークのハイパーバラッド

ビョークのベスト盤を救出。518円也。 内ジャケット写真。自らの身体を無機質なオブジェにみたてている。生と死はビョークの一貫したテーマだ。 Björk - Alarm Call 初来日は観にいった。名古屋クアトロのビョークを至近距離で目撃した。楽しんだけれど凄い…

Many of the music that he taught me

①デイヴ・ブルーベック「ブルー・ロンド・ア・ラ・ターク」 www.youtube.com ②レナード・バーンスタイン「アメリカ」(『ウエストサイド物語』より) www.youtube.com ③ジャン・シベリウス『カレリア組曲』 www.youtube.com ④バルトーク・ベーラ「アレグロ・…

普遍化する能力 ジョー・ジャクソン

ある種の輝きを有しながらもそれを普遍化する能力が幾分不足した(不足していると僕には思える)ジョー・ジャクソン 村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス(下)』1988年 ベスト盤『ステッピン・アウト』裏ジャケット 久しぶりにブログに投稿しようと思うのだけど…

Democracy is coming to the U.S.A

Democracy Leonard Cohen It's coming through a hole in the air From those nights in Tiananmen Square It's coming from the feel That it ain't exactly real Or it's real, but it ain't exactly there From the wars against disorder From the siren…

なぜ、これができないんだろう?(バーニー・サンダースの示す「アメリカ」)

www.youtube.com おれは単純なんだろうか? これを観ていると、どうしても泣けてくるんだ。 www.youtube.com 多くを語ろうとは思わない。たった1分だから観てください。 アメリカ合衆国の大統領予備選、民主党の候補者バーニー・サンダースのキャンペーンコ…

アイス(キャメル/アンディ・ラティマー)

久しぶりに音楽の話をしよう。寒い冬に聴きたくなるのって、きみなら何だろう? ぼくならキャメルだな。奥ゆかしく控えめなサウンドは(とくに日本では)プログレッシブ・ロックというジャンルの垣根を越えて多くのリスナーに支持されている。 『ミラージュ…

カットアップ / フォールドイン あるいは予め定められた批評性

1.意図的に未編集の記事にしてみよう。それを人は「でたらめ」と称すかもしれない。 2.『ナッシング・ハズ・チェンジド』の曲順。ふつうならキャリアの最初から順を追って並べるところを、その時点の最新作「スー」から過去へ向かって遡上していく。三枚組の…

牽強付会かもしれないが……

年末年始は、三つの音楽を主に聴いていた。ジャック・ブレルの1966年オランピア劇場におけるリサイタルの映像、カザルストリオによるメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲、そしてクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの二枚組ベスト盤。この三者に…

デヴィッド・ボウイと大島弓子

2016年1月10日、デヴィッド・ボウイが69歳で亡くなった。訃報とお悔みがインターネットを飛びかうなか、ぼくも一つだけ、かれの墓碑に花をたむけようかと思う。 かれの音楽、舞台、映画、表現活動に於ける諸々の業績は、誰か他の方が詳細に語ってく…

想像力を駆使して

姜尚中さんが『クローズアップ現代』に出ていた。ご存知の方も多いかとは思うが、姜さんは今年の1月1日より熊本県立劇場の理事長兼館長に就いた。かれの郷里である熊本の文化事業を、ますます豊かなものにしてくれることを願ってやまない。 「県劇」は個人…

12年前に書いた小曲

これは昨年末に書棚を整理していたら出てきた手書き譜です。献呈した演奏家に一度だけ弾いていただいたんだけど、電話ごしに聞こえてきたそれは、初見ながら完璧だった演奏ゆえに、作者の力量不足を思い知らされる結果となりました。 拙い箇所がたくさんあり…

No explanation needed

① www.youtube.com Penguin Cafe Orchestra - The sound of someone you love who's going away and it doesn't matter ② www.dailymotion.com Hatfield and the North - Mumps: (a) Your Majesty is Like a Cream Donut (Quiet) / (b) Lumps / (c) Prenut /…

Twiitin' the Night Away(あれから35年)

昨日12月8日はジョン・レノンの命日だったのでツイッターでこんな発信をしてみた。 ジョン・レノンの最高傑作ソロアルバムは? — 岩下 啓亮 (@cohen_kanrinin) 2015年12月8日 twitter.com 今日12月9日に24時間経って確認したら1票しか入っていなかった(笑…

森繁久彌 キャベジンコーワ コマーシャルソング

いまは亡き森繁久彌氏が昭和40年代に出演していたキャベジンコーワのコマーシャルで忘れられないメロディーが二つある。べつに好きというわけではないが、白黒の映像とともに記憶の底にこびりついているのだ。 ときどき思いだしてはググってみるのだが、検索…

フランク・ザッパ・ア・ラ(イブ)・モード

ども。二日前ツイッターに復帰したイワシでございます。あそこはやっぱりおもしろい広場で、なにごとか発信していると、なんらかの反応が返ってくる。ま、ブログの下にも表示されているツイートボタンから、数値表示が廃止されたのは寂しいけど。 で、たぶん…

我が道を行く。“Young person's guide to トッド・ラングレン”

トッド・ラングレンのベスト盤は山ほどあって、でも、大概がありきたりの選曲でつまんない。たかが120分程度聴いたくらいで、トッドの凄さがわかる訳ゃない。 てなわけで、今日はそういう既存のベストから零れ落ちがちなナンバーを20曲、思いつくまま並べて…

『あらかじめ壊れていた関係』 パディ・ジョーとウェンディの話

"Paddy Joe, say Paddy Joe Don't you remember me?" ※ ニューカッスルからロンドンに出てきたばかりの頃は、成功するかどうかなんてまったく想像もつかなかったよ。ぼくらは自主制作のシングルを出して、それがたまたま(BBCの)ジョン・ピールに気に入られ…

アル・クーパー『赤心の歌』

「レコード会社に提案したんだ、ジャニス・ジョプリン(のバンドリーダー)にアル・クーパーをあてがったらどうかと。きっと凄いものができあがるだろうから。まともに取りあっては貰えなかった。いいアイディアだと思ったんだがな……」ボブ・ディラン B○○K○F…

『アメリカン・ビューティー』

2015/09/17。安保関連法案における、参議院の特別委員会で、与党が姑息な手段を使って、法案を可決するという、暴挙を目のあたりにしながら、のんびりと音楽夜話に興じる気分には、なかなかなれない。けれども緊張の糸を、張りつめたままでいると、いつプツ…