鰯の独白

鰯は、鮪よりも栄養価が高いのです、たぶん。

朝、親父と揉めた。

 

 
朝、親父と揉めた。
今回の後藤健二さん殺害かのニュースを観て、おれが激怒し、安倍総理大臣の無能と驕り、会見した菅官房長官の冷淡、外務省の対応の拙さ、N H Kの報道の偏向などを批判すると、親父は当惑し、
「お前はいつもそんなことを考えているのか」
と、心配げな表情を浮かべた。
「だって、安倍首相はエジプトで『テロとの対決姿勢』を鮮明にし、2億ドルの支援を約束したんだぜ。それが中東諸国にたいして如何なる効果をもたらすか承知のうえで。すでに人質にとられている二人の命など、顧みていない証拠だ。あまりにも非情じゃないか。これが政府の外交上の失敗であるのも明らかだよ」
まくしたてると、親父はこういった。
「おまえ、そういう考えを職場で口にするんじゃないぞ」
「どうして?」
「もし上に知れたら、どう評価されるか。おまえが3月いっぱいで辞めるつもりならば、それもいいだろう。だが、まだ働きたいと思うのなら、滅多なことを喋るもんじゃない。政府批判は確実に、マイナス考課の対象になる」
たしなめるように、親父はいった。その説諭はおそらく真実なのだろう。長く行政畑を歩んできた男だ。組織がどういう力学で動いているかを熟知している。
が、しかし。
おれはガマンできなかった。もはや体力も持たない父親に向かって、強い口調で言い返してしまった。
「そういう『もの言えぬ空気』が、戦争へ至る状況をつくりだすんだよ。15年戦争へ突入していった経緯とそっくりじゃないか。おれはそんなの、ガマンならないね」
親父は辛そうな顔をした。おれはそれを尻目に、いつものように出勤した。
2015年2月1日の朝にーー
f:id:kp4323w3255b5t267:20150201124507j:plain 霧の恵楓園
【追記】
親父、心配しなくていい。職場ではおれ、無口で通ってるんだ。それに今日のコーエンは天気もよろしく大にぎわいでさ、無駄口たたいてるヒマなんかなかったよ。
 
……だけどみんな、その話題を口にするの、避けてるような気がしたよ。思いだすまい忘れようと、ことさら愉しげにふるまってるみたいだったな。
 
iPhoneより投稿
 
 
 
※ 今回の一連について、的確にかつ分かりやすくまとめてあった、以下を参照されたい。