『歌の塔』第一部 第4章「霊感のみずうみ」より抜粋

丘のてっぺんから進んできた方向に視線を移すと、こちらは窪地になっており、窪みの底にはこぢんまりした湖があった。沼なのか池なのか、正しい呼び方は知らないが、直径百メートルにも満たないほどの、地図にも載らないような小さく丸い湖である。 わたしはほとりまで行ってみようと決心し、砂礫の斜面を滑るように降りて…