真夜中に書いた寓話 実相をトレースしたフィクション
女王様がお隠れになった 門を閉ざし鍵をかけた 見張り塔からずっと 動向を監視なされた されど御婦人がた 注意めされよ わたしがいない間に誰がなにを言ったか いったい誰が味方か敵か 逐一チェックされていると 思ったほうがよろしい
女王様はしたたか 向けられた批判を 悪意だと解釈する 才能に長けている 狡猾にも 自分の手は汚さず それとなく唆す 僕（しもべ）たちに向かって 密かなる指令を下す
あの人たちが最近 おかしな動きをしている そんな気がするの 不安でならないわ
標的を示唆するやいなや 御付の者どもが 心得ましたとばかり 五月雨式に 攻撃をしかけるという寸法 最初はやんわりと 次第に乱暴に 女王様には関係ありません これはわたしの一存ですと 聞かれてもいないことを口走りながら 酷いことばを 脅しを 恫喝を 投げつけてくるのだ まるでSSよろしく 親衛隊を気どって
だから迂闊なことを 言っては厄介だからと みなはこの件にかんして 口を噤みはじめた いつぞや自分のところに 火の粉がかかってくるやもしれぬと なりゆきを静観する サイレント・マジョリティー
しかし友よ見たまえ しばし沈黙ののち 女王様は復活を遂げ ふたたび君臨なされた そりゃあ表面上は きれい事しか言わない だから意外なほど とくに殿方が ころりと騙される 滑稽な有様よ わたしの言い分が正しいのだという 信ぴょう性を担保するべく 貴族的階級ともいうべき とりまきの文化人に かの女こそ被害者だと 代弁してもらう企て
だが欺まんのツケは いつか払わねばならない いつまで続けるのだろう 女王様然としたふるまいを
忠告したはずだ あなたは疲れている しばらく休みなさいと 春の離脱の時点で あなたに必要なのは 現実の生活だ 仮想空間の玉座に たたずむばかりでは 呻くように訴える 市井の民の声なぞ 耳には届くまい
ソーシャル・ネットワーク・サービス 相互監視社会 このささやかな異議申し立ても いずれご注進の憂き目に遭おう そのとき予を逆賊として 誰を使嗾し遣わすか しかし憐れな女王よ あなたの奇矯なふるまいは 既に大勢の 知るところとなったというのに
あー断っておくけど ＃日向 方面とは一切関係ないから
