日本くん、だいじょうぶ?
平気だよ、問題ないさって気丈にふるまっているものだから、ぼくは遠巻きに見ているんだけどね。
なんだか心配だよ。
それに、危なっかしいよ。
突ついたらすぐに爆発しそうなんだもん。
おっかないから、近寄らないようにしているんだ。
ぼくのスタンスは、ズルイかもしれないなあ。
いじめのように感じるかもしれないね。
だけど日本くん、共倒れはゴメンだな。
お金持ちだと思ってたけど、実際はそうでもなさそうだしね。
つきあうメリットがほとんどないんだよ。
だから悪いけど、手を引かせてもらうね。
病んでいるものが、自分は病んでないと言い張ってるかぎり、他人は病とは認識してくれないもんだよ。
病んでいる状態を自覚して、正直に打ち明けることで、他人ははじめて、ああかれは大変なんだなと気づくのさ。
病んでいる人を見放しておくほど、病に困っている人を放置しておくほど、ぼくは薄情ではないつもりだよ。
だけどね、いまの状態じゃ、動きだそうにも動きだせないじゃん。
きみがそうやって、頑なになっていては。
病んだ状態のまま、ひたすら我慢しているようなら、たとえ辛そうにしていても、他人は手を差し伸べない。
相談してくれたらいいのにと思っていても、いやいいです、自分の問題ですからと、差し伸べた手を振り払われたら、ぼくとしても、ああそうかい、それなら勝手にするんだなって態度になるよ。
親切が仇になっちゃうもんね。
いまの日本くんには、たぶん誰も手を差し伸べてくれないと思うよ。
ちょっとは自分の病状を自覚したらどうかな。
心の問題だからと、合理化したりしないで。
そも、心の問題っていったいなんなのさ?
なにごとも心の問題で処理してしまうから、破綻をきたすんだよ。
景気が悪いのは気のせい。
給料が悪いのも気のせいか?
自分がいま置かれている状態を、いやこれは心の問題だと内面化しているようでは、困難な状況からは、ぜったいに脱出不可能だぜ。
そんなの、ぜんぜん合理的じゃない。
ほら、きみの得意技、「精神論」。
気持ちをしっかり持てば事態は好転するとした、空虚なお題目。
心の問題とは、安直なマジックワード。
政治家が、「それは心の問題です」といっているときは、用心するんだぜ。
それは、「政治では解決不可能な問題です」と言っているのと同義だから。
単刀直入にいえば、そいつは「誤魔化し」だよね。
日本くん、心の問題に、すり替えちゃダメだよ。
な、いい加減、目を覚ましたらどうだ?
日本くん、いまのきみはあきらかにおかしいぞ。
自家中毒に冒されている。
自分がいちばん美しいと思いこもうとしている。
ぷ。
錯覚だよ。
可愛いとこもあるんだけどね。
美点も多々あるんだけどね。
自分ぼめしてりゃ世話ないね。
ナルシズムなんてことばには当てはまらないね。
ファナティックな思いこみ、幻想だよ。
それこそ重症さ。
傍からみてると、まったく滑稽だ。
よくきみは、誇りを持てと自分に言い聞かせているようだけど、
自分を賞賛する行為は、もっとも誇りからかけ離れたものだぜ。
プライドのかけらもありゃしない。
みっともないから、もうおよし。
自分自身を「美しい」と称揚するのは。
で、日本くん、だいじょうぶ?
きみは、ケンカが不得手だろ?
体力も劣るし、胆力にも欠ける。
議論は下手だし、すぐに膨れる。
交渉の余地なんて、全然ナシね。
ちゃぶ台ひっくり返すというの?
挙げ句の果てには、集団的自衛権。
ハハ、笑っちゃうね。自己正当化の論理。
そんな屁理屈、まわりはとっくに見破ってるよ。
ああかれは、戦争したがってるんだなって。
だから、近づかないんだよ。
おっかないもん。
触らぬ神に祟りなし、君子危に近寄らず、さ。
これ、きみん家の格言だろ?
あ、後者は中国くんか。
とにかく、あまり他所様を見くびらないほうがいいね。
ご近所づきあいはとっても大事だよ。
そんなの、オトナの常識じゃないか。
いったいきみは、いくつになったの?
まだ子どものつもりでいるんじゃなかろうね。
自分の意思が通じないと、すぐさまかんしゃくを起こすって、
それ、精神年齢が低すぎやしませんか?
とにかく、ケンカはやめろよな。
無意味な強がりは見苦しいから。
日本くん、弱虫だってとっくにバレてるし。
意気がってると、そのうち痛い目にあうぜ。
まあいいさ、いままで忠告したことは、ぜんぶいったん忘れてもいい。
ただ、これだけは言っておくぜ。
原子力発電所をどうにかしろよ。
迷惑なんだよ、あのまま放ったらかしにされておくのは。
日本くんが真っ先にしなくちゃいけない宿題さ。
そいつを片付けないかぎり、つきあいは御免だぜ。
オリンピックなんて論外だ。
遊びにばかり感けて、やるべきことをやらないようなら、
こっちも、それなりにしか対応しませんからね。
きみは確かきれい好きだったよね?
だったら身奇麗にしなよ、頼むから。
日本くん、
ぼくはなんだか書いてるうちにだんだん虚しくなってきた。
自覚がないやつに、いくら唱えたって詮ないことだもの。
痩せガマンしてるきみに、いくら言ったって無駄だろうなと、半分あきらめている。
だけどーー
病んでいることを自ら認め、その病状をまわりに正しく伝えられるようだったら、まだ見こみはある。
救いの手は差し伸べられる。
治療を施すためには、病と向き合う姿勢を示さなくちゃならない。
心の問題で、片づけてしまわずに。
お願いだから、素直になっておくれよ。
日本くんを、世界の仲間たちから外したくないんだよ。
……え?
ぼくかい?
アメリカ? いいや。
EU? 違うな。
中国・韓国・ロシア? まさか。
ぼくは、ぼくだよ。
非国民でも売国奴でもないさ。
日本くん、ぼくの正体はね、
きみの「こころ」さ。
きみのこころが、良心が、本心を訴えているんだよ。
ぼくの口を借りてね。
日本くん、
ホントは、わかってるんだよね?
もう、平気じゃいられないことに。
だいじょうぶじゃないってことに。