鰯の独白

鰯は、鮪よりも栄養価が高いのです、たぶん。

ローラの肖像(1947年10月18日~1997年4月8日)

ぼくは四六時中ローラ・ニーロを聴いているわけではない。

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だけども年に何度か、ローラの歌声に耳を傾ける夜がある。聞いたら最後、確実に引き込まれる。他の歌い手と違って聞き流せない。集中を余儀なくされる。余所見のできない感じがする。

ところが先日、ふとした場面で、この歌を聞いた。

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ある方の編んだCDRに潜まれた「セクシー・ママ」に胸を衝かれた。初期の切迫感は薄れたものの、歌声に包容力がある。新鮮に響いたのだ。そこで今夜は、この『スマイル』から始まる、自然と緑に囲まれた日々を綴った、ローラ後期の活動に焦点を絞ってみよう。くしくも今日は4月8日、1997年にローラがなくなった日である。

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ローラは動物が好きだった。生きるものの権利を真剣に考える人だった。この「キャット・ソング」は何の企みもなく、猫の行動をつぶさに観察し、それを歌ったものだ。

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谷内六郎のイラストも印象的な77年のライヴ盤『光の季節』。極上のメンバーによって奏でられる『イーライと13番目の懺悔』収録の名曲「タイマー」は当時の彼氏ジョン・トロペイによる、時計を思わせるギターの刻みに驚嘆する。

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78年『ネステッド(邦題:愛の営み)』より、「ひかり-ポップの原理」。性愛と宇宙が一体となった法悦境を、さりげなく歌う。曲調がどことなくトッド・ラングレンっぽい。

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同年NYボトムラインでのライヴ録音。ローラのライヴ盤となると71年のフィルモア・イーストが名高いが、あの『飛翔』の一曲め「アメリカのハト」と、この「アメリカン・ドリーマー」は、対をなすかたちで配置されている。

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ぼくの大好きなトッド・ラングレンとローラの夢の共演は、この「マン・イン・ザ・ムーン」ともう1曲「ツリー・オヴ・ジ・エイジズ」である。しかもギターではなく、シンセサイザーでの参加。佳曲の多い『マザーズ・スピリチュアル』の中では地味な印象はいなめない。でも、2曲だけでも収録されたんだ、よしとするか。

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「トゥ・ア・チャイルド」で始まり「マザーズ・スピリチュアル~リフレイン」で終わる、84年のコンセプチュアルなアルバム、できれば全編を通しで聴いてほしい。

泣くから。


Laura Nyro-The Confession/High Heeled Sneekers

ここで矩をこえてYouTubeを貼ります。Spotifyには権利関係からか、この89年ボトムラインでのライヴ盤がないので。個人的には77年のバンドよりもローラとの相性がよいと思う。とくにギタリスト(同じイタリア系)ジミー・ヴィヴィーノのリックを絡めたコードワークがゴキゲンだ。

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93年発表の『抱擁~犬の散歩はお願いね、そして明かりはつけておいて』は邦題も秀逸ならば内容も一級品だ。スティーリー・ダンをプロデュースしたゲイリー・カッツにより入念に拵えられたアルバムとして、キャリアの集大成として位置づけられよう。こういう「真夜中のオアシス」を思わす軽快なナンバーもあれば、

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女性の権利を高らかに謳う「ウーマン・オヴ・ザ・ワールド」のようにシリアスなナンバーもある。が、余計な力の抜けた歌唱法で、聴く側に負担を与えない。これは(R&Bの模倣段階だった)初期のローラでは到達し得なかった、自然体の境地である。

しかし、ローラは1997年の春、49歳で夭折する。

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ぼくは、こんな架空インタビュー記事を書くほど、ローラ・ニーロに入れこんだ。多くのローラファン同様、思い入れは相当なものだが、しかし、ともすればこの過剰な贔屓が新規リスナーの参入を阻んでいたのではないかという反省がある。というのも、昨年音楽好きな大学生と話していたとき、彼はジュディ・シルを知っていたのに、ローラのことを知らなかった。ショックだった。順番あべこべだろ、とぼくは感じた。

だから、今回はあんまりシリアスな側面を強調しすぎないよう心がけた。どうか気軽に触れてほしい。ローラの残した音楽は決して重くもなく、怖くもないし、また、彼女のメッセージ性を前面に出した歌詞、ナチュラリズム志向や一貫したフェミニストの姿勢も、2018年のこんにちだからこそ、抵抗なく理解されるものだと思う。

さあ、最後に何を聴こうか。ネイティヴ・アメリカンに思いを馳せた「ブロークン・レインボウ」か、バート・バカラックのカヴァー「ウォーク・オン・バイ」か、それとも私のモットーでもある「シリアス・プレイグラウンド」にしようか.......

うん、今夜は軽く締めくくろう。03年の『エンジェル・イン・ザ・ダーク』より、バイーアの風をかすかに感じるようなアレンジの「ガーディニア・トーク」を。

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Gardenia talk It’s spring

Gardenia talk It must be spring

Oh, maybe I’d like to know you

Struck by the poetry

I know it’s not the time to show you

I may know you in my dream

you never hear me

Talk the talk Talk the talk of love

Swoon like a teenager

Oh!

(拙訳)

クチナシのお喋り それは春ね

クチナシのお喋り 春でなくちゃ

あー、たぶんわたし、あなたを知りたい
詩情に打たれて
分かってる、まだあなたに見せられない
わたし、夢の中のあなたを知ってる

聞かないでね、

話す話は、愛の話

あー、10代みたく卒倒!

(お粗末)