益城町を通過した。木山交差点のあたりは相変わらず倒壊した家屋が手つかずのままだった。
いや、方々に瓦礫が寄せられ、ユンボは勇ましく稼働している。なにもなされてないわけではない。町役場から程近い場所には仮設住宅も建ち並んでいる。
けれども、復興からは程遠い状態であると言わざるを得ない。真夏の陽射しは容赦なく地面を灼きつけている。
いったい何時になったら、元の静かな住宅街に戻れるのだろうか?
市内に入って、熊本城を見上げる。大西市長は3年をめどに天守閣を復元する旨を発表した。
復元そのものに異存はないけれど、損壊家屋の復旧が先ではないのかとの思いが、どうしてもつきまとう。
市のシンボルである城の天守閣に、しゃちほこがないのは痛ましいけれども、順番があべこべじゃないか?
熊本はまだ揺れている。微震だけども、揺れは治まっていないのだ。
被災した記憶を風化させてはならない。ヴァーチャルなゲームに興じるのは自由だが、うつつを抜かしていてはならない。
今年に入ってどれだけの苦しみが、悲しみが、痛みが、列島を覆い尽くしただろう?
昨日またしても痛ましい事件が発生してしまった。
忘れてはいけない。ぼくたち生身の人間は、感性を鈍磨させてはならない。痛みに慣れきって感覚をマヒさせてはならない。
ならない、ならないを連呼したくはない。できればぼくも、楽しいことだけを考えていたい。
けれども、現実から目を逸らしてはならないのだ。
現実から、目を逸らしては……
(iPhoneより投稿)