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鰯の独白

鰯は、鮪よりも栄養価が高いのです、たぶん。

30分de書きなぐり

 

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むかし、そう中学生になったばかりのころ。ぼくは大学ノートにしこたま、詩のようなものを書き散らしていた。

なにを書いていいかわからず、ただひたすらノートを埋めつくすのだった。

そのノートに、具体的な名前はいっさい出てこなかった。クラスメートの誰がどうしたという事柄は、まったくといっていいほどなかった。

登場人物は、ぼくやおれ、それにきみやあなた。

ぼくは、きみに淡い恋心を抱いていたかもしれない。だけど不思議だな、ぼくは歌詞を作りはじめたころから、ラヴソングを書くのが苦手だった。

それはまだ恋愛を知らないから、かもしれないが、恋愛ざたにあまり興味がなかったのかもしれない。

とにかく不思議だったのが、なぜ世の中に流れる歌の90%が、数えたわけじゃないのだけれども、恋愛に関することばかりを歌っているのか、どうも疑問だった。

もっと他のことを歌ってもいいじゃないか、ワンパターンだなと思っていた。

なぜ人は、熱病にかかったように、恋や愛についてばかりを語りたがるのだろう?

音楽だけじゃない、テレビも、映画も、小説も、そのほとんどに、100%とまではいかないにせよ、恋愛の要素が確実に混入しているのは?

ぼくはそのことが理解できなかった。

世界中の人間が色情狂なんじゃないかと疑ってしまった。

べつにぼくは潔癖症ではなかった。

もちろんそのころには人並みに性欲もあった。

異性に興味があった。あらぬ想像を働かせるのは、得意中の得意だった。

けれども、それ一色で世界が塗り固められているような気がしてならなかった。

ひょっとしたら、これはヒトが種を保存しようとする無意識の表れなのだろうかと、ない知恵をふりしぼって考えてみたこともあった。

いや違う、そんな高尚な考えから世の中の流行は作られているものではない。

もっと下世話な、よく分からないけれども、それは「商売になるから」ではないのか。

まじめな、具体的にどんなことを指すのかは分からないけれども、とにかくまじめなことを歌ったり話したりするよりも、男女が仲良くなってドキドキしたり、キスをしたりセックスをしたりするのをほのめかす内容のほうが、人の興味を惹くからなんじゃないのか?

そういうことを考えながら、結局は悶々としていたわけだ。

いま考えると妄想のヴァリエーションって気がしなくもないけど。

とにかく、世にあふれる「恋愛至上主義」的なものに、違和感を抱いていた。

そんなものに与するものかと頑なになっていた。

その考え方の核のようなものは、いまでもぼくの中では確固として残っている。

いまでも、恋愛にかんすることがらを第一義に捉える風潮に異議を唱えたくなる自分がいる。なにオマエらしょっちゅう欲情しているんだよと。世の中は、社会は、それだけじゃないだろうと。性的なことがらで溢れかえっているメディアの姿に、索漠とした、さもしさを覚えるよ、いまだに。

話を戻すと――

思春期のころ、ぼくはきっと、他人よりも奥手なのかなと思っていた。

だけど性愛についてのやましさとか、疎ましさのようなものを感じたこともなかった。性行為は、早く経験したいと思っていたし、焦ってもいたが、それでも機会が来ないならそれまでだと、妙に達観したところもあった。

早い話ぼくは、あまりモテなかった。

女のこたちの視界には、入らない類の男子だった。

そういや中学2年のときだったかな、アイビーソックス論争というのがあってさ。

アイビーソックスっていうのは、ラインが二、三本入った、生成りの棉のハイソックスのことね。それを、当時通っていた中学は、新設でお固い学校だったから、服装にかんしての締めつけが激しかったわけで、禁止していたんだよ。

それで、女子の一部から、校則が横暴だって意見があがってね。

ぼくは二年のとき「社会研究クラブ」っていうのに入っていたから、そのことを議題に採りあげたんだ、「アイビーソックス、是か非か」って。

女のこたちは、自由と権利の侵害を訴えた。対するぼくは、規制があって当然、という立場だった。

「だって校則で決まっとるだろうが。決まりは決まりで守らんと。おしゃれは卒業してからでいいじゃなかや」

当然ながら、女子からは総スカンを食らったね。

いやなヤツだよな、いま思えば。

だけど、それは本心だった。

なにを靴下くらいでムキになっているんだって不思議な気持ちだった。色気づいてるんじゃないよと、少しばかり軽蔑もしていた。

議論のあと、女のこの一人が、悔し涙をにじませながら、ぼくにこういった。

「けっきょくイワシくんは、女のこの気持ち、分かってないのよ」と。

「ああ分からんね、そんなの」

売り言葉に買い言葉で、そう返事したけど、そりゃあそういう堅物は嫌われるわな。

だから中学生のころはモテませんでした、みごとに。

べつにモテなくてもいいやと思っていたけれど。

それが一挙に覆されたのは、中学3年になってから。

中学3年の季節はちょうどいまごろ、ぼくは「恋愛至上主義者」に転向しました。

それはもう、天と地がひっくり返るほどの大コペルニクス的転回だった(書いている意味がよくわからんが)。

そのときの感情の高ぶりを今から書いてもいいんだけど。

いちおう時間を30分だと決めてたんだよ、あらかじめ。

中学生の時分に倣ってね。

大学ノートに、詩とも妄想ともいえない、わけの分からん文章を書きなぐっていたころの感覚でね。

ダーッと勢いで書いてみました。

では、時間となったのでこのへんで終わります。またね。

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※写真はこないだ『Clues』のタイトルで投稿した記事(即削除した)に載せたものです。