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鰯の独白

鰯は、鮪よりも栄養価が高いのです、たぶん。

波が立つ

poetry
 
 
それは退屈なイナカ町の噂話ってやつさ
みんな好き勝手に陰口を叩いているだけ
狭い町だものそりゃあアッと言う間だよ
かれとかの女ふたりの話題で町中大騒動
 
発端はこうだ倦怠を持てあますご婦人と
慰みものになっても平気な若いのがいて
人目を忍んで逢瀬を重ねたまではいいが
衆人環視の眼差は甘くなかったってこと
 
気持ちいいことばだけ聞いていたいのよ
批判や非難はてんで受けつけられないの
男は決して嫌ごとを口にしませんでした
そうすりゃかの女の歓心を得られたから
 
目眩く愛欲三昧に二人は溺れてしまった
誰にも気づかれぬと思ってたんだろうが
不倫の事実を知らぬは頓馬な旦那だけで
町中の皆様がたはほくそ笑んでるって話
 
波が立つ波が立つよホラ噂話の波が立つ
自分に累が及ばないなら陰口は嬉し愉し
ちょっとしたやっかみすら噂話の培養土
ときたま自業自得になるもまた痛し痒し
 
 
みんな知ってる誰が裏の戸を開いたのか
幾人の男性がかの女の上を通り過ぎたか
おい?それってコーエンの受け売りだろ
さよう二行分だけ拝借しましたお許しを
 
狭い町から出られぬ鬱憤ばらしとしては
大きすぎる代償を払わねばならなかった
若いのはいいさ出ていきゃ済む話だもの
けれどもご婦人はそんな訳にゃいくまい
 
お前はここにいてすでにここにはいない
さりとてここから出て行けることもない
おっと終いにゃスライの家庭の事情かよ
お前は何処にも出ていくとこがないんだ
 
波が立つ波が立つそりゃ噂話の花が咲く
涙乍らの訴えも第三者にはただただ陳腐
妬みや嫉みは想像力を掻き立てる香辛料
ときたま自虐気味に走るのもまたご愛嬌
 
波が立つ波が立つ町中その噂でもちきり
歳月を重ねても相変わらず見馴れた滑稽
花束を抱えた娘たちのさんざめく笑い声
季節とは残酷に眼前を通り過ぎてく憧憬
 
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火のないところに煙は立たないというが
狭い町だからこその瞬く間に広まった噂
だが興味の持続期間はしょせん七十五日
もうじき人は忘れる記憶は砂塵のごとく
 
 
 
 
 
 
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