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鰯の独白

鰯は、鮪よりも栄養価が高いのです、たぶん。

夢のシリーズ(Series Of Dreams)

 


Bob Dylan - Series Of Dreams - YouTube

  今日は、最近みた夢を書き綴ってみようと思う。ここにぼくの、潜在意識のようなものを読み取っていただいてもかまわない。ただし、ぼくはこのように考えている。

夢は、れいのフロイト先生のお説にしたがえば、この現実世界からすべて暗示を受けているものなのだそうであるが、しかしそれは、母と娘は同じものだという暴論のようにも私には思われる。(太宰治「フォスフォレッセンス」)

 

1)楽器屋に行き、ギターを試奏したいと申し出る。店員は、承知しましたといって、ダルシマーだのブズーキだのバラライカだの、世界各地域の撥弦楽器ばかりを勧める。最初はおもしろがって弾いていたが、次第に困惑してきたぼくは、あのー普通のアコギを持ってきてよと頼む。と、店員はピンクの公衆電話を持ってきて、最新の録音機器ですと耳打ちする。

「ここだけの話、電話回線を利用した画期的な商品です。したがってメモリーは無尽蔵です。使い方も簡単で、①のボタンは録音、②のボタンは早送り、③は巻き戻しとなりまして」

「とうやって停止させるの、これ」
「受話器を置くのです」
 
 
2)太陽と月が、同じフレームに収まるほど接近している。凄い光景だとぼくが興奮していると、友人は「そんなの特段珍しくもないね、見ろよ、これはぼくの撮った写真だけど、太陽が4つも並んでいるんだぜ」と自慢する。なるほど確かに丘の上に太陽が4つ並んでいるけれども、これってタイマーを設定しておけば撮影可能ではないかしらと心中ひそかに思った。
 
 
3)同じ職場の女性が、ついうっかり「イワシくん」と呼んでしまう。「あ、すみません、イワシさん、でした」と、あわてて訂正するが、そのくんって響きがなんとも甘酸っぱくていいなと思い、「これからは『イワシくん』と呼んでくれないか」と頼んだところ、「ヘンですよ。て言うか、それって広義の意味でセクハラ」と、きびしく糾されてしまった。
 
 
4)以前、知人に連れていってもらった鮨屋が旨かったので、高そうだと心配しつつも、もう一度ひとりで行ってみる。食後「お勘定を」と告げると、「共産党シンパの方は特別料金でございます」ということで、かなりお得な支払いで済んだ。ぼくは共産支持ではないのだが、と思いつつ、そのことは黙っておいた。
 
 
5)駅前に新しいビルが林立している。低層階住宅のようだが、外装が矢鱈とけばけばしい。原色で一面を塗りたくってある上に、妙な顔のキャラクターが描かれている。興味を抱いたぼくは、連れ合いに入ってみるよと告げる。入り口でビルの持ち主に面会を申し出ると、快く応じてくれた。2階の一部屋に案内されると、内装は案外まともだが、流しもトイレもない、殺風景な部屋である。
「水まわりは共用です。炊事も風呂も、各階の広間に設置されています」
 眼鏡をかけた・おでこの広い、柔和な面立ちのオーナーが近寄った。
「申し遅れました。わたくし倉科ヒロと申します」
 なんかTVタレントみたいな名前だなと思いつつ、ぼくは、なぜこのようなビルを建てているのですか? と尋ねた。
「シンプルネスを徹底させようと思いましてね。わたしは部屋に有機物が存在しているのに我慢がならない。だから食堂を階下に設けました。ま、いわば昔ながらの下宿屋を今風にアレンジした次第でして」
「そのわりには外装がムチャクチャ派手ですが」
「道行く人々にショックを与えたくてね。ま、これも自分の趣味です」
 倉科ヒロは朗らかに笑った。
「わたしの思想に共鳴してくださった方の入居を歓迎しますよ。どうです、あなたもお住まいになりませんか」
 倉科ヒロは室料を告げた。それは驚くほど安価だった。自分の安月給でもなんとかなる範囲の額である。
「ごゆっくりおくつろぎください。わたしは所用のためにしばらく席を外しますが、そのあいだにこれでもお聴きください」
 と、壁に嵌めつけられた引き出しを開いてみせる。そこにはピンク・レディーのシングル盤がぜんぶ揃っていた。
 旧いステレオ装置で「S・O・S」を聴きながら、ぼくは考えている、ここに住もうかどうかを。連れ合いにどう説明しようかと。
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酷い絵だね、こりゃ。だけど、こんなふうだった。
 
「他人の夢語りを延々聞かされるほど退屈なものはない」と、三島由紀夫がなにかに書いていたが(文藝別冊「三島由紀夫」の冒頭だったと思う)、ぼくはわりかし人の夢語りを聞くのが好きである。それに、現実世界があまりにも無味乾燥だから、夢の世界はそれなりに魅惑的にも映る。ただしたまには酷い夢を見る。こんなふうな。
 
 
6)いやな夢をみた。周囲の人々が次々に粛清されていくなか、自分だけ小狡く立ちまわって難を逃れる。そして後ろめたさを抱きつつも、粛清される側からする側へまわり、素知らぬふりして司令部の椅子に座っているという、まったく最低最悪の夢だ。映る景色が何故か、映画「ブリキの太鼓」を思わせる色調だった。
 これが願望夢でないことを切に願う。
 
夢野久作」は、彼の作品を読んだ父が、「夢の久作の書いたごたる小説じゃね」と評したことから、それをそのまま筆名としたものである。「夢の久作」とは、九州地方の方言で、「夢想家、夢ばかり見る変人」という意味を持つ。Wikipediaより)
 ぼくもまた「夢の久作ンごたる」お話ばかりを思いつく。もちろん「ドグラ・マグラ」の作家にはとうてい及ばないけれども。「夢のシリーズ」は今後もまた、続けていこうかなと思っている。
 毎度ばかばかしい話におつきあいくださいまして、ありがとうございます。
 
 
* 特別大サービス、これもつけちゃえ。

 Pink Lady - MacArthur Park Suite - YouTube