ロックンロールに浸りたいとき、きみはどんなアルバムを選ぶだろうか?
おれは、MC5だな。42分、徹頭徹尾ひたすらロックンロール。外連味のウェイン・クレイマーと切れ味のフレッド・ソニック・スミスがかき鳴らす、二挺のエレクトリックギターがゴリゴリと軋みあう。こんなに美しいギターの歪み、他では味わえない。
ロブ・タイナーのヴォーカルが、またソウルフルなんだ。汗が唾がかかってくる感じ。タフな喉。歌詞に込められたジャーナリスティックな感覚や、ロブ・ライナー監督の映画『スパイナル・タップ』での怪演もお教えしたいところだが、あえて触れずにおく(MC5のマネージャーが、あのジョン・シンクレアだったってこともな)。
リズムセクションも痛快だ。なんてこたぁないリズムを叩きだしているけれども、こういうバウンドするビート、じつはなかなか見あたらない。楽器の巧い下手では語りつくせない、捉えどころのない奥ぶかさがある。
MC5 - Looking At You (Live 1970)
こういうのを聴くとロックってえのはアメリカさんのものだなと改めて感じてしまう。作りものめいたところがまるでない。イギリスのバンドにはこういうナチュラルさはだせない。ましてや日本産ではね、残念ながら。食いもんが違うというのかな、言いたかないけどさ。
かれらのアルバムはどれも必聴だが、とりわけ1971年発表のサードアルバム『ハイ・タイム』は文句なくサイコーだ。
とにかく、このアルバムの良さがわからんヤツは、ロックを語るなと言いたい。
以上。
(笑)バカだろう? だけどマッチョとは無縁だぜ。