鰯の独白

鰯は、鮪よりも栄養価が高いのです、たぶん。

『市俄古への長い道』(テリー・キャス 追想)

 

 

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 (いちおう断っておくと、上の画像の男はピーター・セテラ/b ね)

 

 やあ、ご機嫌いかが?

 今日は休日だから、好き勝手に書かせてもらうよ。

 古くさい音楽を、ぺたぺた貼っつけるのさ。

 おれはテリー・キャスが大好きなんだ。

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 テリー・キャス? そいつは誰だって?

 シカゴの初代ギタリストにしてリード・ヴォーカリストだ。

 そして、上に掲げた映像を観ればすぐさまわかることだが、かれこそがシカゴのリーダーであった。

 まだ未熟なバンドを鼓舞し、統率し、高みに引っ張りあげている。

 ラムやセテラも奮闘しているが、テリーの馬力にゃ敵わない。

 他のメンバーの何倍も視界が開けている。タイムの解像度が圧倒的に違う。そのことがよーくわかる、勝れたドキュメントだ。

 ジミ・ヘンドリックスが感心したというギターの腕前。

 豪快に弾きまくるソロもいいが、コードワーク、カッティングの妙にも注目してくれ。

 余裕あるタイミング。音の抜き差し。過不足なきテンション。温かく、ぶっとい音色。

 白いレイ・チャールズと称された黒い喉。

 ジョー・コッカーやデニス・ウィルソンに共通する声質。男くさくってシブい歌声。

 なあ、テリーの喉とギターを聴いてみないか?

 

Terry Kath - "Free" - Chicago.wmv - YouTube

『Ⅲ』より「フリー」。名刺代わりの一発。快速で駆けぬける2分15秒。


Chicago Mississipi Delta City Blues - Chicago V ...

ミシシッピー・デルタ・シティ・ブルース』。初出は『XI』だが、録音は『V』のセッションで。なぜこれがお蔵になっていたのか? と首を捻るほど凄まじいテイク。どファンキー!

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CHICAGO - Dialogue (Part I and II) - YouTube

 もう一丁『Ⅴ』より。初来日公演のオープニング曲。テリーが「変革」を訴え、セテラが「穏健」に済まそうとする「対話」形式の傑作。ロバート・ラムが、シカゴの思想的中枢を担っていたことがよくわかる。

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 もう一発、ファンキーなブツを『Ⅵ』より。鼻血が出そうな強力ナンバー。けっきょくテリーがいちばん美味しいトコを持っていってる。タワー・オブ・パワーに負けてないぞ!


Chicago & Beach Boys - Wishing You Were Here (1974).mp4

『Ⅶ』より、ビーチ・ボーイズのコーラスをフューチャーした屈指のバラードを。このPVでのテリー(ベースを弾いている!)の、さりげない歌い方がたまんなく、優しい。

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 もう一曲『Ⅶ』より、テリーの渋い歌声を堪能できる『ビブロス』を。もしかしたら、シカゴの中でいちばん好きな曲かもしれない。ため息。

Chicago - Alma Mater - YouTube

 ふたたび『Ⅴ』より、沁みるナンバーを。こういう「校歌」なら、おれも覚えておきたいよ。


Chicago- Make Me Smile - YouTube

 最後に。『Ⅱ』に収録の「ぼくらに微笑を」を。これは本来12分におよぶ組曲の一部(OP&ED)なのだが、楽曲の親しみやすさからシングルエディットされたもの。テリーの歌とギターの双方を満喫できる、カジュアルなナンバーとして、これを選んだ。

【追加】もういっぺん、70年タングルウッドの雄姿を拝もうか。

Chicago "Make Me Smile" [live 1970] - YouTube

 

 今回、テリー・キャスに焦点を絞ってご紹介したが、シカゴの魅力はそれだけにとどまらない。ロバート・ラムの作曲能力、ピーター・セテラの明朗なポップさ、『Ⅵ』~『Ⅷ』にかけての、ホーン&リズムセクションの充実など、お伝えしたいことがらは山ほどある。が、それはまたの機会にとっておこう。

 

 テリー・キャス。男の中の男。

 1978年に拳銃を暴発させ、この世からあっけなくオサラバしたのが、つくづく惜しまれる。

 だが、まさしくかれは「」だった。残された楽曲の数々を聴けば、それがお分かりいただけると思う。

    前々回でちらと触れたザ・フーにしてもそうだが、ロックの「男性性」にかんして、おれは否定的にはなれない。たとえかれらが、屹立した男根(by. 山川健一)を象徴していたとしても、それがイコール女性蔑視へと直ちに繋がるものではないと考えるからだ。

   男らしさとはなんだろう? ほんとうの「男らしさ」とは。

   少なくとも、逞しさと優しさは、両方兼ね備えてなくてはならぬ。   

   不器用で、ぶっきらぼうで、それでいて繊細で。

   増幅された音塊から垣間見える、人間味とでもいおうか、男くささの正体を文章に表すことは、かなり難儀な作業である。

    ただ、 男が「ガッツなんだな」、「ハードでストロングな男だ」と、男を称賛する意味というかココロは、単純かもしれないが、まことに深い場所から湧きだす、感情のため息なんであると、どうかご理解いただきたい。

   おれはやっぱり、いにしえのロックが好きなんだ。どうしても離れられない、それは腐れ縁みたいなもんだが、想像する余地くらいは、残しておいておくれよハニー。