鰯の独白

鰯は、鮪よりも栄養価が高いのです、たぶん。

Music

“Lazy Day”

ときどき、ラジオや有線でかかった音楽に「あーこれ前から知ってるんだけどタイトルなんて曲だろ?」と思い煩った経験、あなたはありませんか? 私はしょっちゅう、あります。 8月の終わりごろ、郊外の店でラーメンをススッていたときに、その音楽は流れて…

福岡史朗 “SPEEDY MANDRILL”

福岡史朗2017年のアルバム『スピーディー・マンドリル』、ぼくは毎日聴いている。 どんな書きだしの感想がいいだろうか。ぼくはずっと考えていた。悩んでいるうちに月日が経ってしまった。おまけにプールサイドで滑って転んで、突いた右手首を痛めてしまった…

樫本大進の『神話』 2017年7月11日 於:熊本県立劇場

樫本大進(ヴァイオリン)とアレッシオ・バックス(ピアノ)の二重奏を聴いた。 翌朝になっても、ぼくの耳の奥には、まだ余韻が残っている。 熊本県立劇場の長い残響にも濁ることなく、樫本の伸びやかで透きとおった音色とアレッシオの繊細なタッチは、コン…

用意周到なサイケデリア、あるいはフォーク・ロックの集大成/ライリー・ウォーカー『ゴールデン・シングス・ザット・ハヴ・ビーン・サング』

Ryley Walker “Golden sings that have been sung ” ライリー・ウォーカー『ゴールデン・シングス・ザット・ハヴ・ビーン・サング』 こちらはAmazonで注文したライリー・ウォーカーの『ゴールデン・シングス・ザット・ハヴ・ビーン・サング(16年)』。 The …

Back to 90'sの趣き/トッド・ラングレン『ホワイト・ナイト』

『ホワイト・ナイト』は、トッド・ラングレンが2017年に発表したアルバムである。 トッドと誕生日が1日違いの)リュウジが持ってきてくれたCDを、ぼくはクルマの中で何回も聴きながら、感想を書かなきゃなと焦りつつ6月をすぎ、7月に入ってしまった。 『ホワ…

身も蓋もなく

今回のエントリーは我ながらとりとめないと思うよ(と予防線を張っておく)。 「ちょい悪オヤジ」の編集者が新雑誌を創刊し、その紹介記事がひどいと話題になっている。ちょい長いが、一部をまるっと引用してみよう。 「ちょいワルジジ」になるには美術館へ…

ジェネシス━━また下らない名前のバンドだ。

<ジェネシス━━また下らない名前のバンドだ。 でも彼女がそのネーム入りのシャツを着ていると、それはひどく象徴的な言葉であるように思えてきた。起源。> 村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』(上)講談社文庫、旧版72-73ページより抜粋 ピーター・ガブリ…

ah, me too.(あ、私も)。

これ知ってる?BBCが制作したジョニ・ミッチェル「フランスの恋人たち」のアニメーション映像。最高! Joni Mitchell - In France They Kiss On Main Street - Old Grrey Whistle Test - BBC - 1976 テンポ・ルパートの極端さはローラ・ニーロを凌ぐが、何に…

“Heavy Cream” ジャック・ブルース・ソングの魅力

先日、某アカウントで「私の考える最強のロックトリオは?」というアンケートを見かけた。出題者の偏った好みを反映してか、四択の1位がクリーム(33%)、2位がジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス(28%)、3位がピンク・クラウド(6%)、その他33%とい…

加藤ひさしの「ソングアプローチ」

昨夕、NHK-FM「ソングアプローチ」の最終回を聴いた。ザ・コレクターズの加藤ひさし氏がJ-POPの歌詞に辛い注文をつけ、近藤サト氏がフォローするという痛快な番組だった。歌詞(と言葉)の今日性とは何か?という問題をいろんな角度から捉えていた。毎週日曜…

日常に鳴ってる音“HIGH-LIGHT” 福岡史朗

福岡史朗2016年発表のベストアルバム、“HIGH‐LIGHT"を購入。 街中のCDショップに行くたび、気後れしてしまう。自分の知らない音楽がこれだけたくさんあるのだと思うと。しかも、手にとって聞くまでもなくおれにとってはどうでもいい音楽がほとんどで、おれの…

アジアの片隅で

悪いくせで、また『鰯の独白』を更新するのが億劫になってしまった。 というのも、何に身構えているのかは自分でもわからんが、書く気持ちを奮い立たせるのに一苦労なんである。モチーフはいろいろと思いつき、半分くらいは下書きしているにもかかわらず、発…

追悼グレッグ・レイク

medium.com (註:この記事は昨晩12月8日Mediumに投稿したものを翌日に転載しました。) 驚いた。 グレッグ・レイク(キング・クリムゾン、エマーソン・レイク&パーマー等で活躍した英国出身のベーシスト/ヴォーカリスト)のホームページに、昨日(12月7日…

ストーンドオヤジの嘆き Stoned Uncle's Lament

レナード・コーエンが亡くなってしまった。 ぼくには語るべき言葉がない。というのも、レナードはぼくにとって詩作の師であり、表現の指針であり、事象の度合いを測る物差しであった。 かれの歌からは多くを学んだが、創作への慎み深い態度、一つの詩曲をこ…

ボブ・ディランへ、文学の側からの評価を求む

※この記事は10月17日にMediumに投稿した記事を再構成したものです。 文学の側からの評価を求む なぜ、ボブ・ディランがノーヘル文学賞を授かるに至ったか、その意味を文学者や文芸評論家は真っ向から取り組んでもらいたい。 ありていに言えば「歌詞の吟味」…

ニック・ドレイク 純粋培養された孤独

社会派(笑)のぼくだけど、今は音楽のことしか書けない。 それはまだ痛みを対象化できてないからに他ならない。痛みの正体を認識できるまでには、もう少し時間がかかりそうだ。 だけど、こんな意見を目にすると、違う!と言いたくなる。 人や世の中を恨むの…

究極の9曲(ぼくの選んだジョン・レノン)

ビートルズのこと、みんなさんざん書いているからなあ。いまさらぼくがなにか上書きすることもないと思うけど、根っからのジョン派として、これだけは言っておきたい。 ぼくは初期のレノン・ナンバーが大好きだ! 言わせてもらいますとね、過小評価されすぎ…

ムーディー・ブルース 7枚の旅券

iPhoneのアプリでYouTubeを観るのは限界がある。が、はてなブログに画像を貼りつけると(理屈は不明だけど)観られる場合がある。 たまに聴きたくなるムーディー・ブルース。連作ともいえる7枚の(フル)アルバムで試してみよう。 ①「デイズ・オブ・フュー…

葬儀のときにかけてほしい音楽?

父が亡くなったので、ささやかながら葬式をあげました。 支払いはさっさと済ませたけど、こじんまりとした式でもけっこう費用がかかるもんです。打ち明けると集まった香典の倍近くかかった。もちろん香典返しを含まず、だ。 先日、こんな記事が(葬儀にお金…

“カリフォルニア・ソウル” 輝く星座 フィフス・ディメンション

たまには幸福な気分に浸りたい。そんな時ぼくの手が伸びるのはフィフス・ディメンション。1966年に高く打ちあがった風船は、50年近くたった今でも気持ちを高揚させてくれる。流行おくれのファッションが何度もリメイクされて甦るように、五人の歌声はいつ聴…

70年代の巫女たち(金延幸子、カルメン・マキ、佐井好子)

洋楽ばかり聴いてるけど、では、日本の歌に興味がないんですか? たびたび訊かれた質問だ。そんなことはないよとぼくは面倒くさげに答えていた。 日本語の歌も聴くよ。男性よりも女性歌手が好きだな。若いころは矢野顕子とか大貫妙子(いずれ書きます)をよ…

ソロ

かつてギターソロが苦痛だった。のけぞって弾かれるとうんざりしていた。いつまで演ってんだ、適当に切り上げろと内心ぶつくさ言っていた。ジャズのアドリブも嫌いだった。そもそもインプロヴィゼーションという構造自体が予定調和的に感じたからだ。だった…

「神に誓って」フランキー・ヴァリ、記憶を頼りに歌った「瞳の面影」

フランキー・ヴァリ、1975年発売のアルバム“Closeup"は、前年にヒットした“My eyes adore you”(邦題:瞳の面影/全米1位)を含む、起死回生の一打であった。 フォー・シーズンズのリード・シンガーとして、ソロ活動も含めて長く全米ヒットチャートを賑わせ…

1968年のグレイス・スリック

ぼくはジェファーソン・エアプレインのよき理解者であるとはいいがたい。 サンフランシスコ産でほぼ同期のグレイトフル・デッドにも似て、捉えどころがないというか、魅力が伝わってこないのだ。もちろん代表的な作品は一通り修めてはいるけれど、ファンと名…

切なくも愛おしい旋律の花束、パート・バカラック

ぼくが心底くたびれたとき、まいっているときはアメリカ産のポップスを大量に聴く。ことにバート・バカラック。聴いていると荒んでいた気持ちが落ち着く。バカラックの音楽は心の痛みを和らげる特効薬なのである。 また、キャロル・キングやジム・ウェッブの…

暴動 There's a Riot Goin' On

いい歳の取り方をしたスモールタウン・ボーイ(ジミー・ソマーヴィル)

1980年代半ば、ぼくは欧州産のエレポップが大の苦手だった。ドン・ドン・ドン・ドンと刻まれるバスドラの四つ打ちが聞こえてくるたび、勘弁してよと口にしていた。ブロンスキ・ビートもその一群だと思っていたから、歯牙にもかけなかった。当時はMTV全盛期で…

エルヴィス、プリンス、エスペランサ

最近ユーチューブで観た音楽ヴィデオで秀逸なものを3つご紹介したい(順不同)。 ① プリンス sheilae.rp プリンスの訃報は、まだ余震が続く日々の最中に、追い打ちをかけるような、つらい出来事だった。亡くなってしまってはじめて存在の偉大さに気づき、喪…

夏天空の伝説 The Enid “In The Region of the Summer Stars”

The Enidが4月に来日した。観にはいけなかったが、鳴った音を想像しているだけで愉しくなる。観に行かれたるなさんの感想によれば、<イワシさんの別腹1位をライブで聴いて来ました。ゴドフリーさんも初期アルツハイマーなど微塵も感じさせない流麗なタッチ…

ゴーイング・トゥ・ランディ・カリフォルニア Kapt. Kopter and the (Fabulous) Twirly Birds

ヘイ、ランディ・カリフォルニアを知っているかい? レッド・ツェッペリン、「天国への階段」盗作の疑いで訴えられる | Led Zeppelin | BARKS音楽ニュース このニュースに、「ランディ・カリフォルニアって何者?」と反応した向きも多いと思うが、スピリッ…